2013-04-12

刺激を求めて

何度でも書きますが、

強い押圧、強揉み、強い牽引などは、ショック療法に過ぎません。

しかも改善する確率が低いという、デンジャラスな博打療法です。

ジェットコースターで恐怖に叫び、無事ゴールしてホッとする爽快感?

そんな方向性でしょうか。

しかし冷静に考えてみましょう。

よく、「痛気持ちー」とか、「くー! 効くー!」みたいな嬉し痛しな

感想を見聞きしますが、要するに半分は確実に痛いんですよね?

痛い刺激で筋肉の緊張は弛みません。さらに強張ります。

それが自然の防衛本能だからです。生命の危機に、筋肉を鎧化するのです。

「え? でも強い指圧とか、確かに気持ちいいと感じるんですが??」

という方々は、少し「脳」のカラクリを知っておいたほうがよいでしょう。

脳はストレスが大嫌いです。命を脅かすストレスは特に。

強すぎる指圧も、ジェットコースターの大回転も、脳には強烈なストレスです。

ですが、そのダメージ(ストレス)をダイレクトに受け止めないために、

「脳内麻薬」というものを分泌するわけです。

はい。

だんだん見えてきましたね? 恐るべき真実が。

そうなんです。「痛きもちー」の「きもちー」の部分は、実は大半が

脳内麻薬による、「偽りの快楽」なのです。


「えー、でも気持ちいいなら、それはそれでいーんじゃない?」

とお考えのあなた、脳内麻薬は事実を打ち消す魔法の力ではありません。

ストレスを「受け入れやすく」誤魔化すための幻なんです。

つまり、筋肉の強い緊張として現実に根をおろすわけです。

あれ? それじゃあ、結局は「脳」にとっても強いストレスじゃない?

と思えてしまいますが、ここが「脳」の小賢しいところでして、

直接強烈なストレスが脳に及ばなければ、あとは筋肉がどうなろうと

知ったことではない! という発想なんです。スゴくないですか?(笑)

結果的にその筋肉ダメージが、後々、脳への強いストレスになろうとも、

刹那的、瞬間瞬間の自己(だけ)防衛本能を発揮し続けるわけです。

そんな「脳」の誤魔化しに気付かず、強い刺激を身体に与え続けていったら、

果たしてどんな状態が待っているでしょうか?

脳内麻薬の出しすぎ、マッサージ中毒になり、全身ボロボロになっても

強い刺激を求めて這いさ迷うことになるでしょう。

そんな大袈裟なー! 

と思われている方は、楽園にお住まいなのでしょう。羨ましい。


人間は刺激を求めて生きているのかも知れませんが、必ずしも強い刺激が

幸福をもたらすとは限りません。

ある領域においては、まったく逆の価値観が必要となってくるのです。

それはある意味、物質社会に生きる現代人には厳しい選択かも知れません。

刺激が強い=効果が大きい

こんな黴の生えた古臭い考え方は、鉄槌で粉微塵に砕きましょう。

正しい方法は何か?

方法??

その考えが既に強い圧力です。

「労り」でしょう?

まずはその気持ちが最低限必要ではないでしょうか?

労る心があるなら、強張った身体を強く圧迫などできません。

技術は二の次でしょう。

みなさんもよくお考えください。